2015年2月18日水曜日

動画編集アプリで写真(静止画)を使う際の注意点

前回に引き続いて動画ネタになります。

Adobe Premiere Pro CC を使って動画映像の編集をしていたのですが、どうにも最後の動画ファイル書き出しにあたって不具合が生じていました。1年くらい唸っていたのですが、原因が特定されてきたので、書きとどめておきたいと思います。

今回制作した動画映像は、ビデオカメラで撮影したものを編集するのではなく、写真画像とテロップとナレーションで構成する作品でした。ボラギノール(痔薬)のテレビCMを思い浮かべてもらえばよいかと思います。

デジタルカメラで撮影された写真画像はJPEGというファイル形式で記録されることが一般的です。JPEGをはじめとするコンピューター上で取り扱う画像は、解像度を一定とした場合、
(1) 拡大表示をしていくと、ドットが目立ちなめらかな表示ではなくなる。
(2) 縮小表示をしていくと、モアレという干渉縞が生じる。
つまり、過度に表示を拡大・縮小すると表示に不具合が生じることがあるようです。

今回、生じていた問題は、高品質設定で動画ファイルを書き出すと、テロップがぼやけ、高品質設定をはずして書き出すと写真画像にギャザが出るということでした。

原因は、動画編集アプリの画角サイズが小さく、配置する写真画像の解像度が高すぎたということでした。編集アプリの画角は3:4で画素数は480×360に設定していました。一方、配置する写真画像は画角こそ3:4であるものの画素数は、4000超×3000超でした。

テロップの表示は編集アプリの画素サイズに最適化されていて、そこに極端に画素数の大きい写真画像が貼り付いている状態でした。
こうした状態で、画質優先で動画ファイルを書き出すと、写真画像のサイズに合わせてテロップが引き延ばされ、テロップが上記(1)による画質劣化が起こり、テロップを基準にすると写真画像が極端に縮小され(2)による画質劣化が生じるという具合です。

この不具合が起こりにくくするためには、動画編集アプリにおいては、画角設定で最終的に必要となる画素サイズにしておくこと。DVDに焼くなら、720×480(16:9)か640×480(4:3)、フルHDで映したいなら、1980×1080(16:9)という具合にです。

最近のデジタルカメラで撮影した写真画像は普通に1千万画素くらいあったりするので(フルHDが約200万画素)、配置する写真画像は予め、動画編集アプリで設定した画素サイズの2倍程度に調整しておくと良好な動画ファイル書き出しが得られると思います。

アプリの画素サイズと写真の画素サイズを同じにしておいてもいいのですが、編集上のエフェクトでズームを使うこともあろうことかと思います。そうした際の画質劣化を避けるため、やや大きめの写真画像を用意しておくこと無難だと思います。2分の1程度の縮小表示であれば、それほどひどい画質劣化は生じないと思われます

2015年2月17日火曜日

自主制作映像に洋楽BGMは使えない

仕事(非営利団体)で、興行や販売を目的としない非商用の制作映像のBGMの著作権申請にいま携わっている。

その映像作品のBGMには、邦楽、洋楽、クラシック、フリー楽曲が混在している。
フリー楽曲は読んで字のごとく著作権申請不要だが、創作者に敬意を払う意味で、エンドロールには出典元を示したいと思う。クラシック楽曲も基本的には著作権期限が切れているので、自前で演奏する限りにおいては著作権料は不要(CDなどの出版物の音源を用いる場合は、出版元や演奏者に著作隣接権があり、使用許諾が必要)なので、カミさんにピアノ演奏をしてもらったり、知り合いにMIDI譜から音源出力してもらい乗り切った。

邦楽と洋楽についても、著作隣接権に触れないようにピアノ演奏やMIDI出力で対応した。しかし、非商用であっても著作権使用料は免れないので、JASRACに申請する。

邦楽については、非営利団体が非営利に制作した映像作品(DVD)への邦楽曲の使用料は[3.5円×時間(分)×製品(DVD生産)数]となる。DVD発行数は多く見積もっても100枚程度で、使用した邦楽曲も6曲で、使用総時間もせいぜい5~6分なので、著作権使用料も数千円で足りる

 洋楽は、JASRACでは使用料納入の代行はするが、使用許諾や使用料決定まではできないので、その洋楽曲の管理会社に許諾を求めて使用料を確認するようにと案内された。JASRACに案内された楽曲管理会社に連絡したところ、提示された金額(s)は1曲あたりミニマムで10万円。どの楽曲も同様の金額で、用途も使用時間も商用・非商用も関係なく、とにかく1曲10万円から、それが相場なのだという。

 洋楽を4曲使用していたので使用料は40万円超。残念ながら、映像の総製作費を上回るような著作権料を小規模非営利団体や個人が負担しようもないので、邦楽やフリー楽曲に差し替えなければならない。誠に残念である。

 楽曲に限らず創作物を生み出すためには計り知れない創作者の苦悩があり、その創作者や創作物には敬意を払いたい。その創作物を使用する場合にも対価は支払わねばならないことにも同意する。著作人格権も大切にしなければならない。権利者が使用対価を10万円と言い、それが支払うことができないのであれば、その楽曲は使えない。契約は自由であり、合意に至らないのであれば致し方ない。

 本投稿タイトルは「自主制作映像に洋楽BGMは使えない」と、表現に語弊はあるが、個人や小規模非営利団体にとって現状は、容易に洋楽を使えないと言えるだろう。

 以下、私の愚痴である。

 かつて映像製作は巨額の資本を必要とし、個人や小規模な団体が容易に手を出せるものではなかった。しかし高機能なカメラや映像編集ソフトが比較的廉価で個人が手にすることができるようになり、YouTuberという言葉や存在も生まれ、かつてないほど映像クリエイターが活躍する時代となった。

 映像作品は映像だけで成り立つことは少ない。演技、音楽、テキストなどの複合したものが映像作品というものであろう。一方、いま注目を集めている動画投稿サイトにある映像作品の中で、適切に音楽著作権処理されたものが、どれほどあるのだろうか? 洋楽を使用した場合、ミニマムでも1曲10万円オーダーである。動画投稿している個人が都度支払っているとはとても思えない。

 著作権や法を踏みにじった作品が跋扈し、 著作権や法を守ろうと心がける者の参入が阻碍される結果になってはいないか? 著作権を無視した動画投稿が公然化し、著作人格はむしろ棄損されているのではないか。

 芸術にせよ、学術にせよ、スポーツにせよ、その山を高くしようとするならば、その裾野を広くするべきだ。学術の世界でも論文の盗用や剽窃はあってはならないが、学術の入口にやたらと高い参入障壁を設けるべきではない。経済力を問わず、能力あるものが学術の世界に参入できることが、結果として社会に大きな利益をもたらし、芸術においても同様であろうと私は信じる。

 やたらに高額に設定されている著作権使用料や大学の授業料などに接すると、気鬱な嘆息を禁じ得ない。