私が特に印象に残ったのは、浪費と消費の対比部分です。「浪費は生活に豊かさをもたらす。そして、浪費はどこかでストップする。それに対して消費はストップしない。」「消費者が受け取っているのは、食事という物ではない。その店に付与された観念や意味である。この消費行動において、店は完全に記号になっている。だから消費は終わらない」
職業上、非正規雇用問題や労働条件悪化問題に接する機会が多いのですが、以前からこれらの問題は、どこかのワルモノよってもたらされているのではなく、私たち自身の生活様式が、これらの問題を生み出し、負の循環に陥らせているのではないかと、そこはかとなく感じていました。著者は浪費と消費を分けて考えることを提言し、「消費は限界がないから延々と繰り返され、延々と繰り返されるのに満足がもたらされないという先ほど指摘した悪循環…[中略]…消費社会は満たされないという退屈を戦略的に作り出し、人々をその中に投げ込むことで生き延びていると言えるかもしれない」と主張している部分に妙に得心してしまいました。
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