2010年5月27日木曜日

金魚すくい

金魚すくい

今回は夏休みの思い出を一つ。
夏休みには、各地で大小いろいろな「おまつり」が催される。
旅行先で地域のおまつりと出くわしたので、わが家もそろって繰り出すことにした。子どもたちにとって、おまつり楽しみは、なんといっても軒を連ねる出店での飲食や遊びである。おまつり遊びの定番といえば、やはり「金魚すくい」でしょう。息子は金魚すくいがやりたくて、やりたくて、「やきそば食べるか?」「わたあめ、いるか?」と誘っても、気はそぞろで、落ち着かない。のっけから金魚をぶら下げて祭場を徘徊するのは何かと不自由なので、できるだけ金魚すくいは後の方にしたかったのだが、根負けして金魚すくいの屋台に向かう。
息子も娘も、おじさんからポイをもらって、意気込んで水槽に突っ込むも、あっという間に紙が破れて、二人とも収穫ゼロ。まぁ、的屋さんの金魚すくいは、そんなものだ。しかし、最低1回につき3尾はもらえる。ビニール袋の中に揺らめく金魚を眺めて、二人とも上機嫌だ。
さて、困った。この金魚どうするんだ? 車旅行の半ばでもちろん金魚鉢などないし、とても持ち帰れない。そこで、私とカミさんは、おまつりの終盤に向けて、徐々に二人への説得にかかる。「車で来てるよねー」「金魚鉢ないよねー」「死んじゃったらかわいそうだよねー」「おじさんに金魚返そっか」。ねばり強い説得の末、二人とも腑に落ちな気にも、金魚を返すことを承諾してくれた。
ただ、屋台に金魚を返すことはこれが初めてではない。去年も一昨年も金魚すくいをするも、帰宅するまでに子どもたちを説得して、家に金魚を持ち帰ることはしなかった。これまで、金魚を返していたことが、息子はとても不満だったらしく、今年は「何で、家に金魚を持って帰れないの」と「どうして、何で、何故なぜ」攻撃が始まった。
旅行から帰っても「金魚、キンギョ」と二人ともあきらめてくれそうにないので、「わかった、今度のおまつりで、金魚すくいしたら、お家で飼おう」と約束した。どうせなら、ちゃんと飼おうと思い、おまつりの1週前の週末にムサシに出かけて、金魚鉢、砂利、エサ、水草、塩素中和剤を一式買いそろえた(もちろん、パパのお小遣いで、痛いっ!)。カミさんは「そんなことまでせんでいいのに…」とややあきれ顔。そして、迎えたおまつり当日。二人とも脇目もふらず、金魚すくいに直行、張り切ってポイをかき回す。今回は結構獲れる、さすが地元商店街の出店だけあって良心的だ。息子は10尾くらい、娘も3尾ほどゲットした。まぁ、どれだけ獲っても1回3尾までしかもらえないのだが。そうして、金魚6尾がわが家にやってきた。
翌日の朝、子どもたちが何やら騒いでいるので眠い目をこすって行ってみると、「パパー、金魚死んでるー」と結構あっけらかんと報告してくれる。さっそく1尾、横になってお亡くなりになっていた。すくあげて庭の裏に穴を掘って埋葬し、子どもたちと一緒に「あ〜ん」と合掌してご冥福を祈る。このようなことが、毎日続き、ほぼ1週間後には水槽から金魚は全滅した。エサもやってたし、毎日3分の1ずつ水も替えていたのだけど、おまつりの金魚はそんなものですかね。
初めて自宅で生きものを飼い、そして死んでいくという経験をした子どもたち。今までとちがう何かを感じ取ってくれたのだろうか。主がいなくなった空の金魚鉢を眺めながら、自分の子どもの頃にも思いを馳せる今日この頃であった。

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