大阪府会議員の議員定数が与党単独採決により大幅に削減された。知事は、「少数意見に耳を傾けることは大事」ともいうが、議席の削減は少数意見を議席に反映させにくくすることに他ならない。「少数意見に耳を傾ける」ことと「議員定数を減らす」ということは、ほぼ二律背反の関係にある。
国会や地方議会で少数意見が蔑ろにされた結果、生じたのが今回の原発事故ではないのか。いま、一貫して反原発の立場で研究・活動を続けてきた京大原子炉実験所の先生が「不屈の研究者」などと脚光を浴びている。原発設置の採否にあたって、こういう研究者を有識者として議会に招請してきたのは少数政党である。議員定数削減と小選挙区制度はこういう政党を議会から駆逐してしまう。
民主主義による多数は、人道的にあるいは科学的に正しい選択をするとは限らない。ドイツにおけるナチスの台頭や、福島の原発事故はそのことを如実に物語っている。しかし、民主主義が誤謬を生む危険性を内在しているとしても、今のところ民主主義より優れた制度は見あたらない。
したがって、民主主義に安全装置をビルトインしなければならない。少数政党が一定数議席を確保できる制度である中選挙区制や比例代表制それにあたると思う。二大政党制は政策決定や遂行スピードが早く効率的だとする主張があり、小選挙区制度が導入された。議員定数削減の折には比例代表の議席が削減されてきた。しかし、この発想は、経済効率のために原発の安全対策を疎かにしてきた東電の姿とどこか似てはいないか。
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